菜の花薬局薬剤師、Yです。
2017年3月5日、第2回日本HPHコーディネーター・ワークショップ・J-HPHスプリングセミナーに参加しましたので報告します。
◆講演Ⅰ「診察室で貧困を評価し支援する、カナダでの実践」トロント大学ブロック博士
貧困は疾患に与える影響の一つということは知っていましたが「生活がカナダ人の病気の原因の50%」という結果から影響の一つというよりは原因の大半だと認識を変えることができました。
また石川で取り組んだ無料低額診療・薬局補助の署名の取り組み、無低診患者さんの生活調査の取り組みはアドボカシー(社会的弱者の権利擁護・代弁)であり、自分たちの取り組みに自信を持つことができました。弱い立場にいる人は自分では声を上げることがなかなかできないということをふまえて、これからも弱者の声を代弁していきたいと思いました。
◆WSⅠ「日常の診療の中で、SDHの問診を定着させる」
はじめに埼玉協同病院の「貧困の評価の試みと支援・介入」の報告を聞き、質問の項目・仕方・方法についてグループで話し合いました。
埼玉協同病院では阿部彩「社会調査を用いた相対的剥奪と社会的排除の測定」の項目をもとに質問を決定し入院患者129人に回答をもらったというもの。収入の回答について3割の人が無回答であり直接収入を聞くのは難しいと思いました。
私のグループは医師1名看護師1名管理栄養士1名ソーシャルワーカー1名保険薬局薬剤師2名の構成。「食生活」「住所」「保険情報」「学歴」など間接的な質問で貧困の可能性をはかろうというプロダクトとなりました。医師は整形外科の医師ということもあって「診察で食事や生活などは聞かないな~」と言われ、診療科によっての質問項目が違ってくると思われました。科や職種どの場面でも何気ない質問から貧困をキャッチするような訓練が必要だと思いました。
一斉アンケートも良い面があるのですが、表題にあるように「日常診療の中で」問診することの重要性を認識しました。
◆講演Ⅱ「地域住民とともにすすめる健康な地域づくり~佐久総合病院の実践から~」
佐久総合病院の歴史と現在の取り組みについて由井医師より聞くことができました。印象深いのは「(農民のためではなく)農民とともに」「地域が衰退して地域医療だけ残ることはありえない」「「地域づくりの夢とロマン」(若月私案)」、そして歌や劇など楽しく取り組むということです。
講演Ⅰのブロック博士も言われていましたが理想を持ち医療者としてどのようになりたいか・したいかを常に考えていたいと思いました。
◆懇親会
病気を患ったり障害があったり介護があっても迷惑と思われない社会を目指して、HPHの取り組みをさらに広げていきたいと思います。